「SL整備記録 NO-18 大山正風」

      コッぺル1号機(井笠鉄道)
                                            
                                     岡山県笠岡市山口1457-8 (旧井笠鉄道新山駅)

車歴  製造年月 1913年10月  製造台数 3 (6533・6534・6535) 軸配置0-4-0  B型  軌間 762mm  
     
諸元  全長 5,180mm  全幅 1,708mm  全高 2,943mm  最大軸量 4,57t  総重量 9,14t  燃料 石炭  燃料容量 0,51t  

     水容量 1,36㎥   ボイラ圧力12,38kg/㎠   シリンダー数 2   馬力 50PS

運用  1913/11/17~1961/10/16 その後保存  1971/3/31さよなら運転 1973/9より西武鉄道山口線で「信玄号」として運用1977に返却され

     1980年以降旧新山駅跡地の井笠鉄道記念館に静態保存され現在に至る。2013年以降は笠岡市教育委員会から委託管理を新山地区自治会に委任さ

     れ笠岡市と自治会との共同運営を行っており、機関車・客車は自由に見学ができる。月曜日と年末年始以外は開館しており、土・日には多くの子供連れや

     鉄道ファンが訪れている。入館料は無料である。(AM9:00~PM5:00)



 この度、井笠ホジ9保存会代表の渡邊さんから三次の48650号機整備メンバーに、井笠鉄道1号機の整備をお願いできないかという話がありました。当初は486

50号機が終了しないと・・・・でしたが、48650号機の作業再開が4月から7月にずれ込みさらに遅れそうな気配がありますので、その間なら整備できそうかなという

事で3/12に井笠鉄道記念館を訪れ、渡邊さんや新山地区自治会の方々と具体的な作業等や行程について話し合いを持たせて頂きました。作業は基本的には土・

日に三次48650整備メンバーがボランティア活動として行い、ホジ9保存会の方々・新山地区自治会の方々・笠岡市内等の有志の御参加も得て行う事になりました。

 笠岡市教育委員会の承諾も得ましたので早速整備を始めます。やはり、長年保存活動に携われていた自治会の方々の心意気を強く感じました。柵の中で40年以

上放置されている各SLとは大違いです。行政のスタンスの違いが明確に現れています。第一回は2016/3/19・20・21に行います。興味・関心のある方はどうぞお

越しください。(手袋・弁当は御持参ください。)

 作業的には全塗装を剥離し再塗装、動輪やロッド等の磨き出し、砲金・銅部品(細管等)の磨き出し、運転室内の可動部位の潤滑化、汽笛の修復、客車・貨車の台

枠の整備等を考えております。先ず機関車は梅雨に入るまでに何とか整備をと目指しております。客車・貨車に関しては48650号機が再開され整備完了後取り組み

たいと思います。  写真は1号機と福山市新市町の2号機(本来は3号機)の現状です。 次回は2016/3/21の予定です。            2016/3/17 

          

*2016/3/21
 3/19井笠鉄道記念館到着、17日に三次市の48650号機の作業現場から整備道具を運んだ際に、汽笛の笛蓋や吹き出し部にかなり粉塵が堆積していたのを確

認していたので、コンプレッサーを始動し吹き付けて粉塵を除去後キャブ内の各バルブを閉じ、汽笛への接続管のコックから空気を送り込むと可愛らしいポッーと汽笛

が鳴る事を確認しておりました。

 自治会長さんから27日に井笠鉄道記念館の恒例の春の祭りがあると伺いましたので、皆さんに整備の様子も知って頂きたいのでホジ9保存会の渡邉さんと相談し、

左側動輪・ロッド部のケレン・汽笛を鳴らす事を21日までの作業としました。私は第二動輪部から渡邉・W両氏は右缶胴被の一部焼き剥ぎとシリンダー被部からケレ

ンを開始し、両氏には汽笛を鳴らすための部品調達をしていただきました。汽笛は19日中に鳴らす事ができるようになりました。

 20日は引き続き第二~第一動輪部・各ロッドのケレンを行いました。日曜日でもあり多くの親子連れが訪れられましたので、その都度作業中のコンプレッサーのホ

ースを汽笛に付け替え、汽笛の音を楽しんでいただきました。午後には渡邉さんのご両親も来られ作業を見ていただきました。

 21日は同じく動輪部~シリンダー被部・蒸気管の磨き出しを行い、一応お祭り用のケレンは完了しました。(正式には再度ケレンします。)この日も多くの来訪者があ

り、磨き出した動輪部位の写真撮影や汽笛をならして楽しんでおられました。やはり開かれた井笠鉄道記念館のあり方は保存車両の展示の方法も含め大いに参考に

なります。三次市の48650号機のように柵に囲まれ放置され、一般公開もされないままの状態とは大いなる差があり、三次市市長を始め行政諸氏に井笠鉄道記念

館のあり様の見学を薦めたいものです。

 本日の作業の終わりに渡邉さんは腕木式信号機に登り滑らかに可動するように調整を行いました。ケレンした結果刻印に関しては次の様な状況が判明しました。井

笠鉄道のコッぺル型機関車は3両製造され、その番号は6533が1号機・6534は2号機・6535が3号機となっています。今回左側のケレン済み箇所と一部右側を

確認しますと、6534・6535の刻印が確認されました。その経緯については右側をケレンした段階で判断したいと思います。    次回は2016/4/3の予定です

                                       1号機の汽笛

* 2016/4/3
 3/27日の井笠鉄道記念館祭りは盛況で、特に汽笛は好評のようでした。それで4/2に到着後汽笛専用のエアーホースを接続し常時鳴らすことができるようにし

ました。それと子供さんが上手く鎖が引けるように輪っかと踏み台を設置しました。これまでは「まつり」の為のデモ的な整備でしたが、本日から正式な整備作業を始

めました。今日・明日は私一人の作業になります。作業的には2日は機体前部(煙室扉・フロント部・連結器)・右シリンダー部からケレンを開始し、3日は右サイドの

缶胴被(一部ケレン済み)・サイドタンク(水タンク・石炭庫)をケレンしました。御近隣の地域の方々のご了解はいただいているものの、ケレンの騒音が気になります

ので、バーナーによる焼却とサンダーによる研磨を併用(局部的にはジェット・タガネ)して作業を行いました。右シリンダー上蓋部に20168の刻印がありました。す

でに左の同部位でも確認されておりますが、本機の製造番号の刻印では無くシリンダーの部品番号と思われます。両日とも多くの子供さん連れが来訪されましたが、

専用コンプレッサーとホースで対応しましたので、こちらの作業に支障を来たす事は無く楽しんでいただきました。      次回は2016/4/9の予定です。

* 渡邉さんから3/27に行われた「井笠鉄道記念館祭り」の様子を送っていただきましたので掲載いたします。  2016/4/4

* 2016/4/9
 早朝に桜の満開となった国道11号線「桜三里」を越え、桜の花びらが舞い踊る「しまなみ海道」を走り抜け笠岡の作業現場に到着、キャブ右側面と前面右側・サイド

タンクの上面、さらに煙突・蒸気ドーム・砂箱等の缶上部構造物右側のケレン作業をWK氏と共に引き続き行いました。

 ここで問題点が発生、先週ケレンした部位の一部に早くも錆が浮いてきていました。原因はこの地方独特の朝霧が立ち込めるために、鋼の材質の違いが浮き錆の

発生で改めて如実になりました。当初はケレン後ある程度まとめて錆止め剤を塗る予定でしたが、この様な霧現象は今後も続くと伺いましたので、来週からはケレン

後直ちに錆止め剤を塗るように変更しました。来週は右サイドは赤塗りに覆われる予定です。

 私は西条市C57-44号機の「シゴナナ・プラス」の掃除・学習会が10日にありますので本日のみの作業になります。キャブ左入口が子供さんには上がり辛いので

木製の階段を自作して次回に設置したいと思います。今日は晴天であり夕陽に映える「向島・生口島・大三島・伯方島・大島」のしまなみ5島のそれぞれの桜を満喫し

ながら松山に戻りました。                                                          次回は2016/4/17の予定です。

* 2016/4/17
 4/16、到着後直ちに右サイドの浮き錆を再度ケレンしました。やはり石炭庫~キャブにかけての浮き錆が目立ちました。煙室扉や前部等は錆は発生しておりませ

んでしたが一応軽くケレンしておきました。WK氏が到着したので二人で右缶胴被の上部にかけての残りを昼までにケレン完了し錆止め剤塗布を午後から行いました。

 昼休憩中にキャブ右入口に自作した階段を設置しました。早速子供さんが来られ使用していただきました。汽笛の空気漏れも最小限に抑えましたので汽笛復活です

。錆止め剤塗布後煙室扉下部が腐食し穴が数箇所開いておりますので、その修復方法の確認の為に煙室扉を開けてみました。煙室内には内壁の剥がれおちた鉄屑

がかなり堆積しておりましたが、煙管等は見た目では損傷は見受けませんでした。右サイドタンク給水部に刻印がありましたが不鮮明で判読できておりません。左で再

確認したいと思います。キャブ天井と前面の接合受け部に6535の刻印がありました。他の刻印と共に後日判断をしたいと思います。

 4/17、今日は私だけの作業となります。右シリンダー部と台枠の第一動輪部のケレン作業を行いました。PM2時で作業を打ち切り松山に戻りました。                                                                                    次回は2016/4/24の予定です。

* 2016/4/23
 本日は一日作業の予定です。井笠鉄道記念館到着後直ちに煙突左半分・缶胴左(煙室部)・台枠一部・左サイドタンク側面(水槽・石炭庫)のケレンを開始し、午後

2時頃に完了。昼前に福山の多木氏来館され客車の車掌室の照明の取り換え作業と汽笛鳴らしの為に右の送り出しバルブの空気漏れを止める作業をしていただき

ました。夕方からの雨模様の予報でしたが、ポツポツ降り始めたので大急ぎでケレン終了した箇所の錆止め剤の塗布にかかりました。午後3時半には終了し小雨の

中松山に戻りました。缶胴被左上部・サイドタンク上面・キャブ前面左・左側面の一部・天井部は次回にケレン~錆止め剤塗布の予定です。                                                                                           次回は2016/5/1の予定です。

* 2016/5/1
 4/29日はホジ9保存会の渡邉さんも作業に参加、3人で残りの蒸気ドーム・砂箱・サイドタンク上部(一部缶胴被)・キャブ左側面・天井部のケレンを行いました。

 4/30日はW氏と二人でキャブ後部をケレン後、昨日のケレン部を含め錆止め剤を塗布しました。ケレン中のキャブ天井・後面のL受け部に6535の刻印がやはり

ありました。この事実からキャブ天井は本来井笠3号(現在の新市2号機)の天井である可能性が考えられます。

 5/1は渡邉さんと錆止め剤塗布終了部(右半分は塗布後2週間を経過し粉塵が堆積)を高圧洗浄して次の黒塗りに備えました。笠岡ローカルTVの取材を受けまし

た。午後から新市の2号機(6535)を訪れキャブ天井・前面L字受け部の刻印を確認しますと、6533(1号機)の刻印が確認できました。これで1号機のキャブ天井

が2号機に交換されていた確立が高くなりました。また渡邉さんの1号機のさよなら運転時の写真ではキャブ天窓は存在せず、現1号機の天窓は西武鉄道山口線運

用時に造作されたものと考えられます。                                              次回は2016/5/5の予定です。

* 2016/5/5
 5/3日は午後から雨天の天気予報で有り、塗装作業は明日に延期し両サイドのシリンダー周囲のケレンと確認作業。台枠両サイドのケレン作業を3人で行った。台

枠部では缶胴受け梁の右側にHO(0?)EROE 16Nの逆転刻印があり、これは部品番号刻印と思われる。左右の逆転腕軸受け座にやはり20121の部品番号刻

印が認められた。シリンダー部では上蓋を開けシリンダー内部を確認すると左右とも走行時(西武・山口線)の油がかなりの量残存しており、20111の部品番号刻印

が認められた。また本機が本機である事を証明する6533の刻印が右シリンダー璧上部に認められた。ブレーキハンドルから後輪制動軸腕等を焼き油を注入し引き

手を緩めると、ハンドル操作によりブレーキパッドが動くようになった。

 5/4日は好天に恵まれ、黒塗り一回目の塗装作業を行い午前中に完了した。笠岡ローカルTVの取材がありホジ9保存会の渡邉さんが対応した。塗料が乾燥するま

での間に左右のシリンダー被を外すと左には20103L・右には20102Rの部品番号刻印が認められた。またW氏が加減弁テコに整備を加え可動するようになり、こ

れで本機の大半の部位が可動可能な状態になった。午後から第二回目の黒塗り作業を行い夕刻までに完了した。またキャブ火室内の石を除去し内部を清掃した。午

後からは山陽新聞の取材があった。

 5/5日は渡邉さんと二人で先ず昨日の塗装の再確認と細かな塗り漏れを丁寧に塗りつぶす作業と、左台枠のケレンと右台枠塗料をガスバーナーで焼き剥ぎ次回の

作業に備えた。また高圧洗浄機で客車・貨車を水洗いするとともに、敷地内の粉塵対策として散水を行い午前中で作業を終了した。午後から私は先日の新市の2号

機(本当は3号機)の確認同様に岡山市の池田動物園を訪れ、3号機(本当は2号機)の状況を確認した。3号機は2号機と同様屋外保存であるが何度も塗装されて

おり、余り退色は見受けられなかった。しかし数度の厚塗りの為に期待したロッド等の刻印は全く確認する事は出来なかった。キャブ天井と前方部との接合L型受けに

刻印が存在したが、新市の2号機同様肝心の末尾部にボルトが開けられおり、幸いにも後部の接合L型受けには明確に6534の刻印が存在していた。


 これで、次の事実が判明した事になります。新山の1号機のL型受けには6535が、新市の2号機(実際は3号機)には6533が、池田の3号機には6534の刻印が

存在しており、L型受けのみの交換は考え難く、天井板全体の交換が1号機と3号機の間であった事が伺える。ロッドの刻印
に関しては右サイドのケレンが終了した段

階で判明している事実や疑問点を提示したいと思います。                                    次回は2016/5/15の予定です。

* 2016/5/10
 1号機の前哨(照)灯ですが、井笠時代・西武山口時代は写真資料を見る限り、それぞれ小型の丸型前哨灯が装着されていました。本機が西武鉄道から返却され

現在の鉄道記念館に保存される際に、機体と比較するにその大きさから違和感を感じますが、現状のLP42型前哨灯が装着されたと思われす。さて同灯の現状です

が内部を見ますと、ガラス(NAKATA製)は周囲をタールで固定され、ソケット部はSANYO製600W電球対応に改造され、外部には製造プレートは無く前哨灯取り

付け金具用に2穴が穿ってありました。同灯の整備としては今後の展示の観点から100V・LED対応に改造が望ましいと判断し、ソケット部の再改造とガラス固定の

タールを除去し、押さえ金具にクッションを噛まし固定しました。本体の取り付け金具を新たに装着し、台座が無いため不要な取り付け金具(前)を除去しました。点灯

させると味わいのある光です。

* 2016/5/15
 5/14日は現場到着後左台枠のシリンダー部から最終ケレンを開始、WK氏到着し右台枠後部のケレン開始、昼前に渡邉さん到着左台枠後部のケレン開始、夕刻

までにほぼケレン完了。さらにキャブ右下の欠落部と煙室扉下部の腐食部に網目を張り、金属パテで補修しました。ケレンの結果、台枠左第二動輪部に続き右第二

動輪部台枠にも動輪の擦過痕跡が確認された。また、右第二動輪部前の台枠に溶接修理痕跡が認められた。斜め上に走った亀裂を修理したものと思われる。左右

の第二動輪の擦過痕跡はこの傷と関係するものであろうか、特に左の痕跡は大きく台枠を深く削っており、走行時の機関車の衝撃はかなり大であったと予測される。

持参した前哨灯を定位置に装着し点灯させた。点灯状態を確認の為夜間に訪れ撮影を行った。前哨灯の錆止め剤と本塗装は後日行います。

 5/15日は左台枠細部のケレンを続行後錆止め剤の塗布作業を開始した。WK氏は煙突・キャブ前両窓枠・サイドタンク下部にホワイトラインの作業を、多木氏は到

着着後客車への配線の配管作業と踏切警報機の音出しを、さらに火室内の石塊の除去と火格子の可動を試みて作業継続、午後3時過ぎに錆止め剤等の塗装を終了

し、粉塵を高圧洗浄機で洗い流し本日の作業を終了した。                                    次回は2016/5/22の予定です。

* 2016/5/22
 本日は一日の作業行程でした。現場に到着すると笠岡市教育委員会生涯学習課の安東文化係長さんが日曜日にも関わらず既に来ておられました。早速記念館内

でこれまでの整備の経緯と現状報告、さらに今後の整備の具体的な行程・作業内容・消耗品等の打ち合わせを到着した渡邉さんを含めて意見交換を行いました。今

後も教育委員会として協力していただけるとの事を伺い、渡邉さん一人の作業になっても支障の無い段取りが出来て大いに安堵いたしました。三次市の48650に対

する対応とは余りにも差があり、井笠1号機は引退後も幸せな安住の地を得ている事を再認識した次第です。

 作業は1時間遅れで左右の台枠の赤塗りとシリンダー部・給水管・サイドタンク受け・ブレーキ引き手・制輪子釣・制輪子等の黒塗りを渡邉さんと行いましたが、塗料

のノリが今一つで重ね塗りをせざるを得ず、右サイドの黒塗りは次回に持ち越しました。重ね塗りの結果台枠の赤色は予定内の色調に落ち着きました。本日の作業で

機関車のコントラストが良い状態になりました。                                           次回は2016/5/29の予定です。

* 2016/5/29
 28日は一人の作業行程でした。まず前回残していた左サイドタンク底~右サイドシリンダー部~給水管~制輪子釣り・制輪子~右サイドタンクの底黒塗りを行い、

煙室扉下部とキャブ右サイド下部の腐食による破穴の修復を行いました。前回火室内の整備を行いましたが火格子が開いたままになっており、再度閉じようとしまし

たが揺り引棒がやはり動かず閉じる事が出来ませんでした。29日は小雨が降り始めましたが細部の手直しとキャブ後部窓枠のホワイトラインを塗りました。雨脚が

強くなり始めましたので午前中で作業を終え帰途につき、回り道でしたが西条市四国鉄道南館に立ちより6月12日の打ち合わせをして戻りました。1号機の作業とし

てはキャブ内を除き、未整備は両サイドの動輪・ロッド等の磨き出しを残すばかりとなりましたが、梅雨時期の磨き出しは不向きですので作業は梅雨明けから行う予

定です。6/4・5が好天で有れば渡邉さんの技量修得の為に一部のみ磨き出しを予定しておりますが、天気次第となります。 次回は一応2016/6/5の予定です。

* 2016/6/5
 4日は天候が午後から怪しくなるので到着後直ちに左右の結びリンク・右偏心棒(エキセントリック・ロッド)を外し磨き出しの準備を行い、渡邉さん到着後ロッド磨き

の手順で磨き出しを行い技能を習得して頂きました。また、以前に祭り用に仮磨きをした左の偏心棒を外し正式な磨き出しを行いました。引き続き渡邉さんは左右の

滑り棒とピストン棒の磨き出しをしてもらいました。私は車椅子の方がスムーズに見学が出来るようにスロープの手直し等を行いました。最後に整備完了した主灯を

装着し予定していた作業を終了しました。

 5日は雨天の為、昨日のコンクリートの乾きを確認後、渡邉さんと津山学びの扇形記念館~井倉洞~総社~水島とD51各機を見学後松山に戻りました。津山は新

しく開館してからの初訪問でしたが扇形駐機場の各機体が並ぶ光景はやはり圧巻でした。しかし、D51・キハ・DD・DE等の各機体も正面から見るだけの状態で、機

体に近寄る事も触る事も出来ず、私としては疑問が残る展示形態と言わざるを得ませんでした。大阪時代のD51-2号機は左サイド~右第二動輪部迄は間近に見

られ、運転室内も見る事が出来ていましたので率直に残念でした。唯一のサービスが正午の汽笛だけでは寂しい限りであり、今後の展示に工夫が必要である事を痛

感しました。

 さて、梅雨に入りましたので作業は梅雨明けまで中断いたします。作業再開は諸般の事情により8/6から再開になります。今後の作業予定について渡邉さんと協議

し、再開後ロッド等の磨き出し~客車の天井ケレン・塗装~台(枠・車)ケレン・塗装~貨物車の塗装~台(枠・車)ケレン・塗装~客車塗装~と進めますが、8月以降

に渡邉さん一人で行う土・日の作業では完成には約2年近くを費やすかと思われます。


 私は三次の48650号機の整備から退去いたしますので、引き続き記念館の整備を続行いたします。渡邉さんが整備の技能を習得すべく、援助して参りたいと思い

ます。整備内容が塗装等の軽い作業内容になりますので、未経験の方々のご参加による作業も充分可能かと思います。車輛整備等に感心・興味をお持ちの方の御

参加・御協力をお待ちいたしております。(ボランティア活動である事を御理解いただきたいと思います。)

 遠方よりお越しの方は新山地区自治会の御好意で「土倉記念館」での宿泊(無料)が可能ですので、よろしくお願い申し上げます。作業は基本的に土・日で行います

が渡邉さんも学業優先でありますので、作業日の確認は「井笠鉄道記念館」にお問い合わせください。月は休館日・AM9:00~PM5:00 0865-65-2706にお

願いたします。                                                               次回は2016/8/6の予定です。

* 2016/06/11
 本日は整備作業ではありませんが、展示環境の作業に出向きました。以前に子供さんやお歳を召した方が運転席には登り辛い環境でしたので、木製階段を自作し

ました。しかし、足の不自由な方や車椅子の方が運転室内に入室する事は難しく汽笛を鳴らす事は不可能でした。そこでL型アームと滑車を利用し外からでも汽笛が

鳴らせるようにいたしました。これでどなたでもコッぺル機の独特の汽笛の音色を楽しんでいただけると思います。汽笛の音源は外付けのコンプレッサーを使用してお

りますので、操作上の
関係で各バルブにはさわらないようにお願いいたします。

 次にロッド等の磨き出しを開始しましたので、現時点で判明している本機の各刻印と関連する2・3号機の刻印関係を一覧表にしました。1号機である6533の刻印

は右シリンダー内右肩・左右の合併テコ・左右の偏心棒・左右の釣りリンク軸に認められましたが、メインロッド・サイドロッドは2号機・3号機の刻印でした。他にも左

右心向棒・スライドバー受け・釣りリンク軸座・キャブ天井L字受けにもありました。

 1913年に製造され納入段階でこのような他機部品を装着する筈もなく、井笠鉄道廃止の1961迄の間に1~3号機の間で整備の必要上、相互入れ替えがあった

と想像されます。それは2・3号機も同様であった事が一部確認されております。さらに3輌ともロッド等に溶接修理痕跡があり、井笠鉄道保有のコッぺル型機等から

の転用も考えられます。国鉄車輛と異なり部品入手の困難性からの井笠鉄道なりの整備状況が伺えます。これらは1~3号機の現状が更に明らかになれば井笠鉄道

機関車の歴史を究明する事になり今後の研究課題と思われます。

1号機6533 (新山記念館) 2号機6534 (池田動物園) 3号機6535 (新市ゴルフ場)
左 シリンダー上蓋 20168 20168
左 合併テコ L6533
左 心向棒 L6535
左 スライドバー受け L6534
左 偏心棒 L6533
左 釣りリンク軸 L6533 6535
左 釣りリンク軸座 6535 6534
左 メインロッド 6535
左 サイドロッド L6534
キャブ天井前L受け 6535 キャブ天井前L受け 653? キャブ天井前L受け 6533
キャブ天井後L受け 6535 キャブ天井後L受け 6534 キャブ天井後L受け 653?
右 シリンダー上蓋 20168
右 シリンダー被右肩 R6533
右 合併テコ R6533
右 心向棒 R6535
右 スライドバー受け R6534
右 偏心棒 R6533
右 釣りリンク軸 R6533 6535
右 釣りリンク軸座 6535 653?
右 メインロッド 6535
右 サイドロッド R6534

* 現時点で各機の溶接修理痕跡は次の箇所が確認されています。1号機(左 心向棒)・2号機(左 メインロッド)・3号機(左 メインロッドと右偏心棒) 2・3号機

のメインロッドの修理形状はほぼ同一であり、その修理時期を含めて今後の追及研究課題と考えます。                   2016/6/26

* 2016/07/23
 今日は作業日では無いのですが、新山地区自治会から「汽笛が鳴らなくなった」という連絡を受け、様子を見に行きました。確かに汽笛本体の引き棒から空気が全

て漏れており、鳴らないのは当然でした。07/10に整備別メンバーがコンプレッサ―直結からタンク方式に配管を変えたそうで、施行後は鳴っていたようですが、数日

で音がおかしくなり、引き棒が重たくなり、異様な漏れる音が叙徐に大きくなり無音状態になったようです。

 コッぺルやクライス社の可愛い汽笛は、旧国鉄の汽笛と引き棒の構造が異なり、内部にピッチが切られており、その回転と内部ピンで空気の遮断・調節が行われま

す。03/19に調節後何百回と鳴らされても異状が無かったのですが、今回の件は原因がよく解りません。調整して鳴るようにはしましたが、再び同様な状態が起こる

可能性はあります。部品の調達は難しいのでむやみに分解は避けたいものです。笠岡市教育委員会には現状況を説明しておきました。調整中に笠岡市地域協力隊

のご夫婦が地区の子供達を連れて、地域を映像で紹介する所謂「町起し」のビデオヒストリー作製に来られたので、子供たちに調整後の初汽笛を鳴らして貰いました。

* 2016/08/07
 三日間の作業で動輪・ロッド等の完全磨き出しを渡邉さんと二人でおこないました。最初に左サイドの仮磨き出し(03/27鉄道記念館祭り用)を落し、再度ケレンし

磨き出しを行い取り外していた結びリンク・偏心棒を取り付け完全な状態にしました。右サイドは未ケレンの状態でしたがこれも完全にケレンし、磨き出しを行い何度

もアクリルを塗布し防錆対策を行いました。朝日・夕陽に動輪・ロッド等は光り輝いており、乱反射でフォーカスが定まらない写真がかなりありました。後は銅配管・細

管の磨き出しと部分調整が残っております。次回からはホワフ1貨物車の整備に移行します。

 先の汽笛の件がありますので、地域の方にも調整は可能ですので木山会長さんにお願いし「畝山」さん・「国定」さんにお越しいただき、汽笛の構造と引き棒の調整

の仕方、現在の状況を説明させていただきました。地域の子供たちの活動にも記念館の車輛とコラボした行事を組んでいただけるようでして、地域に愛される井笠鉄

道の車輛は整備する私どもにも嬉しい限りです。説明会には参加させて頂きたいと思います。        次回は2016/08/28の予定です。 

* 2016/08/21
 2016/08/19~21の間福山市新市町新市クラッシックゴルフ場にお邪魔いたしておりました。もちろんゴルフを楽しむのでは無く、ゴルフ場前のコッぺル3号機

(6535)の整備を行うために参っておりました。鉄道記念館の1号機を整備するに、ロッド等の刻印に本来の1号機である6533の刻印より、他機の2号機(6534)

・3号機(6535)の刻印が随所に見受けられました。また先日新市の3号機の確認を行いました所、1号機・2号機の刻印が確認されました。この事から井笠鉄道で

は輸入後1~3号機の部品等を廃車に至るまで有効に交換使用していた事が伺えました。

 1号機の整備等の代表者はホジ9保存会の渡邉さんであり、一人で清掃等の活動を地道に継続されてきました。渡邉さんは今後も井笠鉄道関係の車両やバス等

の文化遺産を信念を持って整備し、保存活動に寄与したいという強い意思を持たれておられます。さすれば1号機と関連する2~3号機の研究上整備が不可欠であ

り、私も微力ながらお手伝・協力をさせて頂きたいと思います。

 今回の3号機の整備にあたり笠岡市教育委員会様には新市クラッシックゴルフ場(代表取締役・竹内太甫様)に協力依頼の要請をしていただきました。また竹内代

表取締役様には整備の目的や1号機との関係を御理解いただき、整備の承諾をいただきました。笠岡市教育委員会様・竹内新市クラッシックゴルフ場代表取締役様

には厚く御礼申し上げます。

 今回は整備の時間も限られており、機体下部~ロッド等をケレンし錆止め剤を塗布~黒塗装を出来うる範囲で行い、残りは次回の作業とし機体本体を往年の状態

に戻したいと思います。また各刻印等の確認も併せて行いたいと考えております。3号機の状態が把握できれば自ずから2号機の状態も判断出来うるかと期待してお

ります。

 作業的には機体下部の再塗装が完了しました。刻印関係では先に判明していたものを含め以下の刻印等の状態が確認できましたので、新たに一覧表を付記しま

す。今回の作業でやはり1~3号機は部品を相互に交換しながら維持管理し営業運転を行っていた事が伺えました。特徴としては3号機も1号機同様に第二動輪の

脱線痕跡が認められ、その状況が3号機の方が被害が大であり、リベットや台枠から後方に伸びるキャブ台枠やリベットまで削り取る痕跡が認められました。  

完成写真は後日追加致します。  また新市3号機の今後の整備に関しては期日は未定です

1号機6533 (新山記念館) 2号機6534 (池田動物園) 3号機6535 (新市ゴルフ場)
左 シリンダー上蓋 20168 20168
左 合併テコ L6533 6535
左 心向棒 *溶接 L6535 6533
左 スライドバー受け 6534 ーーー
左 偏心棒 L6533 ーーー
左 釣りリンク軸 L6533 6535
左 釣りリンク軸座 6535 6534
左 メインロッド 6535 溶接修理 溶接修理 6533
左 サイドロッド L6534 6535
キャブ天井前L受け 6535 653? 6533
キャブ天井後L受け 6535 6534 653?
左 シリンダー上蓋 20168 ーーー
右 シリンダー内右肩 R6533
右 合併テコ R6533 Rのみ
右 心向棒 R6535 6533
右 スライドバー受け R6534 ーーー
右 偏心棒 R6533 溶接修理 ーーー
右 釣りリンク軸 R6533 6535
右 釣りリンク軸座 6535 6533
右 メインロッド 6535 6535
右 サイドロッド R6534 ーーー
キャブ後部右窓枠 20080
左右逆転軸腕受け座 20121 20121
左右シリンダー内部 20111
右缶胴受け梁 HOERO 16N ーーー
左シリンダー被内 20103L
右シリンダー被内 20102R

 新市から笠岡に戻る途中の福山市神辺町湯田小学校グランドにD51型機の第一動輪が保存安置されていました。「やまてつ」さんのHPにも掲載されてありません

でしたので、紹介しておきたいと思います。動輪はD51-38号機の第一動輪でした。D51-38号機は1936年汽車製造製で東北~北海道で活躍し1976年に滝川

機関区で廃車になっています。由縁の無い当地に保存されたのかその経緯は不詳です。ケレンされ保存されています。左ツバには住友ロゴ TM916 A-10 タイヤ

には住友ロゴ W02498 O シ45-9の刻印が、右軸ツバにはシ42-5 NH 556 タイヤには住友ロゴ W32478 D シ 45-5の刻印が確認されました

* 2016/08/28
 私の井笠鉄道記念館の最後の整備となりました。到着しますと笠岡市教育委員会にお願いしてありました作業足場が設置してありました。足場があると無いでは完

全に作業進捗状態が異なります。早速、渡邉さんが先日ホワフ1貨物車の天井をケレンされておりましたので、08/27は天井側面をケレン後二人で天井部の錆止め

剤を塗りました。また機関車の銅細管の磨き出しと再取り付けを行いました。

 08/28は私は貨物車右サイドの木部をケレンし旧塗装を剥がしました。渡邉さんは各台枠・車輪のケレンを行い、最後に1号機の砲金製プレートを磨き出して作業

を終了しました。私がこの整備に参加したのは渡邉さんに整備の方法を技術指導する事が最大の理由でした。三月以来渡邉さんは真面目に真摯に整備の各手法を

一緒にしてもらい学んでいただきました。本日の木部のケレンの手法をマスターされましたので、私の役割は一応終了いたしました。今後のホワフ1貨物車とホハ1客

車は基本的にお一人で時間を掛けて整備される予定です。これが終了すれば渡邉さんは岡山県の整備マンとして成長される事が確約されると思います。私は今後も

機会があればお手伝いには伺いたいと思います。以上で私の井笠鉄道コッぺル1号機の整備状況は終了いたします。ご覧いただき有り難うございました。

 以後は渡邉さんのhttps://www.facebook.com/ikasahozi9/「井笠鉄道ホジ9保存会」https://mobile.twitter.com/ikasahozi9「同」をご覧いただければ今後の整

備の状況が判明いたします。私は10月からはSL整備とは別の仕事に掛かりきりになりますのでしばらくSL整備から離れる予定ですが、山口県宇部市のD51-18

号機が整備されるそうでして、厚狭の村野氏や北九州の入江氏も関わっておられるので、09/03に下見と打ち合わせに伺い、整備体制の都合では09/17からの集

中整備に参加させていただく予定です。