「SL整備記録 NO-8 大山正風」
C57-44号機整備記録 NO-5
2014/02/21
大変お待たせしました。本日は天候が晴れでとても良い天気に恵まれAM8:00から上屋テント・シート・足場が撤去され始め、C57-44号機が姿を
見せ始めました。
足場が完全に撤去されたPM12:00~から約1時間半私の業務報告と報道各社の撮影時間となり、各社それぞれのアングルで撮影が行われ、その
後移送に向けて機体をシートで覆う作業が行われ、PM4:00に作業は終了しました。改めて「貴婦人」57-44号機の整備後の姿を紹介したいと思いま
す。写真をご希望の方は下記のメールアドレスまでご一報ください。原寸・サイズ等ご要望に添いますがそちらのメールの受け入れ容量不足の場合大
きいサイズは添付できませんのでご留意ください。公式左サイドの写真は貴重な存在となります。(二度と撮影不可です) ロッド等細部も撮影しており
ますが右動輪・ロッド等の手直しを明日から始めますので、それが終了次第掲載いたします。24日完了予定です。
2014/02/25
本日で左右の先・動輪・ロッド等の手直しを終了し第一次整備作業を完了しましたので、部分・刻印等の全てを紹介いたします。明日は移動に向けて
の作業が開始されます。その様子は移動完了後紹介したいと思います。転用部位については次の各部位に転用が認められました。左右第三動輪に
C57-45・左従輪軸ツバにD51-98・左蒸気室前蓋基部にD51-243・左第一動輪担バネ釣りリンク内側にC57-161・左蒸気室前蓋にD51-243・
右偏心棒ピンツバにD51-915・同偏心棒にD51-202・また右リターンクランクにC57-69と読めますが不確実です。
第三動輪・右偏心棒・右リターンクランクは刻印打ち直し、左従輪軸ツバ・蒸気室前蓋・第一担バネ釣りリンク・右偏心棒ピンツバは転用されています。
最終アップは02/27の予定です。
2014/02/26
02/25~26にかけて最後に最後まで横浜市の佐藤氏にお手伝いいただきました。また今後の整備に不可欠な部品のご提供をいただきました。厚
く御礼申し上げます。
26日AM9:00よりJR西日本梅小路蒸気機関車館のSL担当2名のアドバイザーの指示の元、日本通運作業員の方々により移転作業が始まりました。
先ずテンダーと本体の切り離し作業が行われ中間引棒ピンの引き抜き作業・ブレーキホース等の切断(取り付け部が例により溶接されている為の修復
可能な個所で切断)しテンダーを後部に下げました。次にキャブ天井より第二ワイヤーを床下シャーシ部へ、次に左右の動輪等の固定作業が行われ第
一ワイヤーが第一缶(第二先輪の上部)部に掛けられ吊り上げの準備が完了しました。
AM10:30吊り上げ作業が始まり、巨大な二基のクレーンにより本体は軽々かつスムーズに低床特殊運搬車両に移動しました。直接に目の前で吊り
上げられるSLの姿は私も初体験であり感動でした。PM1:30よりテンダー部の吊り上げ作業が行われこれまたスムーズに低床運搬車両に移動しました。
27日未明の移送までの待機場所に本体・テンダーとも移動しカバーシートが架けられ移送を待つばかりになりました。ここまでをご紹介します。移送の様
子は未明に撮影後27日に補充紹介いたします。作業にあたる若き日本通運の面々から「こんな奇麗な機関車は見たことが無いなあ、おじさんが整備し
た機関車は僕らが丁寧に慎重に運ぶから安心してな」と言われ若い人たちにも整備の成果を評価してくれたかと思うと大変嬉しく思いました。
2014/02/27
移送作業は27日AM1:30分に市民公園からスタートしました。小雨の中公園通りを南進し最大の難所である小川踏切にさしかかりました。踏切を
越えながら引き込み道路に右折しますが、ゆっくりとしたスピードでしたが無事通過し鉄道南館へ向かいました。途中給水タンクの場所が狭いため慎
重に左右を確認しながら微速前進し南館入口に到着、左折し南館前を通過し待機場所に到着しました。見物されていた市民の方からも「オーッ」と歓
声が上がりました。機体の到着はAM2:13分で約45分で作業完了し、次にテンダーの移送が同様に行われました。夜が明け、AM9:00からテンダ
ーの積み下ろし~展示引き込線への固定~南館内への引き入れが行われ、PM1:00から同様に機体の吊り下ろし引き込線路上への固定が行われ
ました。南館への引き入れは明日の予定です。明日撮影後最後のHPアップを予定しております。
2014/02/28
昨日移送され南館引き込み線上に待機していた機体の南館内への引き込作業が行われました。整備作業開始前に機関車を動力機で押し込む形態
で引き込むからと伺っていたので、最初に本体とロッドとを繋ぐ逆転棒と逆転軸腕のピンを抜き(逆転ハンドル可動のためにも)、左右の釣りリンク~心
向棒間のピンツバのみ溶接を除去できませんでしたが、左右の釣りリンク腕~釣りリンク~心向棒~合併テコ~結びリンク~クロスヘッド・加減リンク~
偏心棒~リターンクランクの各ピンツバ部と軸との溶接を外しておいた事が役にたちました。AM9:33動力ウィンチが静かに巻きとり始めワイヤーがピ
ンと張った瞬間、動輪が僅かに後退しました。1976年に可動して以来40年振りの車輪の可動です。AM9:50に先頭が南館の扉を通過し館内へ入り
ました。
微速後進でしたがクロスヘッドがスライドバーを水平に移動し、合併テコ・結びリンクが動き、加減リンクが前後にお辞儀をし、リターンクランクが回転し、
偏心棒が心向棒がそれぞれの動きをし、メインロッドと第一・第二サイドロッドが水平にあるいは角度をつけて動き、先輪が各動輪がバランスウェイトを
光らせながら後退する姿は感動的でした。AM10:02機体とテンダーとの中間引棒ピンが落とされ接続が完了し、市民公園時の状態に戻されました。
ここまでの一連の作業は日本通運の作業員の方々の緻密でかつ手際のよい動きで実施され素晴らしいのプロの仕事の一言でした。「貴婦人」C57-
44号機が西条鉄道南館の主となりました。一般公開されておりませんので館内の写真はごく一部になります事をご了解ください。
左右の動輪~ロッド等が回転しましたので整備した部位が隠れ、隠れていた未整備の部位が現れましたが、第二次整備作業で再度磨き出しを行う予
定です。日本通運の彼らはプロ中のプロであると思いますが、私たち整備に当たる者もその経験によって得た技能は当然要求されます。左右の磨き出
しをしていた各先輪・動輪のボス・軸ツバ~ロッド等は02/14以降移送までの間に手直し(完全にやり直し)しております。手直しが必要な部位は今後も
整備いたします。4枚のナンバープレートの磨き出しも2~3回手直しいたしました。
第一次整備作業を終えるにあたり、感謝の意を表したいと思います。先ず整備計画段階で、場所が児童館に接している為に機関車の寒冷地仕上げ塗
装(鉛を含む)をケレンすると、その粉末が飛散し周囲に与える環境や健康面に問題を与えるので機体を遮断していただきたいという当方の見解に、西条
市当局(都市計画整備課・観光振興課)は真摯な姿勢で取り組まれ作業上屋を設置されシートで覆っていただきました。また作業場の安全面確保の観点
から足場を設置していただきました。また当方の作業がし易いように遠藤組には足場の高さを調整をしていただきました事に御礼申し上げます。また電源
・水源の便宜を図っていただいた西条市児童館(女性児童福祉課主幹)の先生方にも御礼申し上げます。
振り返れば2013/10/23に準備作業として溶接外しから始まり、本日まで年末年始の3日とC56-109・139号機への訪問2日を休んだ以外、雨の
日も風の日も雪の日も作業に費やした事が思い出されます。まだ暖かい日にバーナーで焼いたデフの熱反射で汗だくになり「お好み焼きが何枚焼けるん
や」とブツブツ溢した日、雪の降る悪天候の中作業日程から高圧洗浄機を使い両手の感覚が無くなった事など・・・しかし、作業中に児童館に来られるヤン
グパパ・ママから「頑張ってくださいね、応援してます」と励まされ、幼い子供さんに「おじちゃん(いつも帽子かヘルメットをかぶり、防御メガネとマスクを装
着しているので、・・孫がいるお爺ちゃんなのですが)きれいにしてね!」と言われ痛む足腰に鞭打ち作業を続けた事。相手が鉄なので錆落としにハンマー
で叩く事が多く付近にお住まいのご婦人から「うるさい!いい加減にしなさい!」と叱責され何度も謝罪した事、遠くから駆けつけてくれた整備仲間達・私の
同級生や教え子の皆さん有り難うございました。また、一人で整備作業をしている私に「手伝いは出来ないけれど頑張って!身体に気を付けて」と励ましの
メールを送ってくださいました皆さん有り難うございました。お陰さまで本日をもって第一次整備作業を終了できました。
整備作業に関して西条市民の皆さんに関心を持って頂くために何度も報道していただいた、愛媛新聞社・朝日新聞社・産経新聞社の新居浜支局のスタ
ッフ各位、また南海放送・eat朝日TV・テレビ愛媛・あいTVの新居浜支局のスタッフの皆さん有り難うございました。特に遠く北海道岩見沢市まで取材に出
向いてC57-44号機が結ぶ西条市と岩見沢市の縁について報道いただいた朝日TVの玉木氏には謝意を表したいと思います。
少しお休みを頂き体力と鋭気を養ってから第二次整備作業を開始いたします、03/06を開始日と予定しております。C57-44号機整備記録6で再びお
目にかかります。