「SL整備記録 NO-6 大山正風」
               C57-44号機整備記録 NO-3

2013/12/02
 11/30日は横浜市のC56-139号機の掃除会に参加してきました。横浜ポニークラブの方々が長年かけて整備された機体で、2011年に一般公開

されました。機体は本当に隅々まで手入れされており、44号機の整備の大いに参考になりました。

 本日は排気膨張室扉前シャーシー内部を完了し、右弁心棒案内・シリンダー被後蓋部をケレンしました。右弁心棒案内・油壷に本機の刻印を確認しま

した。明日は右シリンダー被後蓋内側を終了してから第一動輪内側シャーシ部に取り掛かりますので、内枠から内部に入ってみました。やはり動輪内側

には長年の粉塵が硬くこびり付いていて、時間がかかりそうです。
左右の後蓋のピストン棒用油壷の小蓋の溶接を外し開きました。

2013/12/04
 昨日は右シリンダー被後蓋内側とシャーシ外側を完了後、左クロスヘッド上部から内部へ、更に枠から第一動輪部へ入りました。主軸を挟み狭い

中で立ったり、制動引き棒に腰をかけたり、制動引き棒内に座り込み、内部をケレンしました。缶カバーは第二先輪部よりは錆が強い状態でした。

第一動輪内側は左右とも凝固した粘性土がこびり付いており除去に時間がかかりました。空間から覗き上げた部位の手の届く範囲はケレンしたい

と思います。左右の第一動輪担バネの前部のバネ釣りには刻印があり、左後部のバネ釣リンクには
C57161の刻印がありました。C57-161号機

は1969年に新小岩機関区で廃車になっていますが、その間関東一円の機関区に配属されています。本機が1938~1946年までの高崎・尾久機

関区に所属していた間に大宮工場で転用された可能性が大です。またバネ鞍上部左にはNH-46-2・右にはCS10S 121等の部品番号刻印があ

りますが、その示す意味は私には勉強不足で解りませんのでご教示頂ければ幸いです。

 本日は第二動輪部へ制動引き棒の下を潜りやっと到着、缶カバー下部は更に錆が浮き塗装は完全に剥離状態でした。第二動輪左右の内側・制動

引き棒等をケレンしました。やはり担バネのバネ釣両リンクやバネ鞍上部には本機の刻印や部品番号の刻印がありました。やはり第二動輪主軸用

油壷は蓋が開く状態でした。手作りの長柄のヘラ(お好み焼き用)で左右の空気溜とランボード下部の粉塵をできるだけ除去しました。軸箱の砲金製

のクサビには本機の刻印があるようですが明日に持ち越しました。明日は後ろへはブレーキシリンダー等がありますので進めず、従台車の隙間から

内部への進入を試みます。

2013/12/06
 昨日は第三動輪と従台車の隙間から葡匐前・後進でやっと第三動輪部に辿り着きました。左右上下とも道具を振るには狭くて苦労しましたが何とかケ

レンする事ができました。缶カバー下部の状態は更に悪く錆で塗装が剥離しておりました。左右担バネのバネ鞍上部には製品番号刻印が、左担バネ前

釣リンクのみ本機の刻印がありました。また第一~第三動輪の各主軸箱のクサビにはそれぞれL1~L3・R1~R3-C5744の刻印がありました。各動

輪の主軸には油と粉塵に塗れた回転輪(部品名は?)が残存しており、各動輪主軸の左右の油壷の蓋は全て開き、内部には全て潤滑油が残っており特

に第二動輪右油壷には2分の一、第三動輪左油壷には3分の一残存しており、油が滲み落ちている状態です。明日は再缶下部に潜り、缶カバー下部を

グラインダーで研磨した後、高圧洗浄機で洗浄し1975年以前や以後の粉塵を洗い落とす作業にかかります。

 本日も葡匐前・後進で第三動輪部へ、グラインダーでは落とせない部位を高圧洗浄機で洗い飛ばしました。油煙と油で凝固した箇所はさすがの高圧洗

浄機の勢いをもってしても除去できませんでしたが、逆に油で守られているのでそれも良いかと思いました。缶カバー下部は戦前の塗装下地は無く、戦後

の一回塗りだけでしたのでかなりの面積を下地まで剝ぎとる事ができました。さらに第二~第一~第二先輪部まで移動し、缶カバー下部・左右の空気溜・

ランボード下部等を高圧洗浄しました。さらに本塗装の準備として機体上部の整備による粉塵を洗い流して本日の作業を終了しました。明日からは機体

左側面のケレンをします。

2013/12/08
 昨日は左加減リンク部のケレンをしましたが、グラインダーでは作業できない箇所が多くてハンマーで塗装をコツコツと叩き割る方法で作業をしまし

たので、一日かけて加減リンク受け・同奥部の缶カバー・釣りリンク腕・加減リンク・第一、第二制輪子釣りしか進みませんでした。今日は昨日の続き

と第一空気溜とコンプレッサーのケレンに取り掛かりましたが終了できませんでした。加減リンク下部・釣りリンク・釣りリンク腕ピンツバ・逆転軸中軸

に本機の刻印がありました。また、空気溜りにLFの文字がありました。

2013/12/10
 昨日はコンプレッサーのケレンをしましたが、外カバー以外はハンマー叩きでしたので一日かかりました。外カバー下部は腐食しており下ベルトは中

央部で折れていますので修復をしなくてはなりません。高圧部の外側にNH6.7と10-35の刻印がありました。調圧器も磨きだしました。

 本日はコンプレッサー下部に続き空気塵コシ・第三制輪子・泥溜までの火室、灰箱の外カバー・第一ギアボックス・従輪釣合梁受の半分までケレンし

ました。第一ギアボックスにはプレートがありますが判読できていません。従輪釣合梁受には本機の刻印がありました。昼休みに第一~第二ギアボッ

クスの溶接部を外し、オイルをスプレーし可動を試みました。回転腕はありませんが、歯車軸をプライヤーで挟み回転させますと、両歯車軸が微かです

が動きました。機能は生きており感激でした。整備とは関係ありませんが昼休み(適当に休んでいます)には、必ず運転室の機関士席に座り時間を過

ごしています。椅子に座り諸操作系統機器を動かしたり、日々変わりゆく機体を眺めています。運転室内もまだ未整備状態ですが、塗装の状況や完成

を想像して一人満足しております。

2013/12/12
 昨日は塵コシ以後の火室カバー・灰箱カバー・釣合梁(イコライザー)の後部・従台車担バネ・滑り子装置辺りまでケレンしました。従台車のバネ守

に本機の刻印を発見しました。また担バネの中央部に刻印(部品番号)がありましたが、判読できていません。

 本日は従台車の仕上げに手こずりやっと昼前に完了。引き続き運転室下部へと思ったのですが、天候が回復し気温が上がったのでテンダー左側

面を高圧洗浄機で洗い出しました。従台部等はかなり吹き飛ばしました。テンダー側面は2層の塗装であり情操の亀裂のある箇所から水圧で弾き飛

ばすと見事なカーボンブラックの塗装面が現れました。吹き飛ばない個所をバーナーで焼き削りますと何やら白文字が部分的に出てきました。もしや

と思い帰宅して昔の44号機の写真を確認しますとありました。国鉄の動労時代に書かれていたものか思われます。
*下段右端の写真は「福chanの

SL写真」blogs.yahoo.co.jp/br1020er-27810411.htmlより引用させていただきました。同様の文字が存在していたと思われます。
                                                                     1972/04の撮影だそうです。

2013/12/14
 昨日はテンダー左側面の続きを作業しましたが、塗装面は2層と一部3層になっているようです。本日はテンダー左側面の残りと除雪板をケレンしま

した。左右に白塗料で文字があり左はC57??4と読めますが、44号機という確証はありません。1974年時の写真に左側にC5744と書いているのは

ありますが、場所と字の大きさが異なり1974年のでは無いようです。岩見沢第一機関区のC57型機で末尾4は44号機・104号機・144号機ですの

で、そのいずれかと思われます。また、テンダー左従台車の各軸箱の溶接を外し、軸ツバを確認しました。部品番号の刻印はありましたが、号機を示す

刻印はありませんでした。写真は明日アップします。今朝バタバタしました(16歳の我が家の芝犬が寿命で息を引き取りました。教職時代の単身赴任

やHP作成の旅にも、那智勝浦のC58-353号機の整備にも同行しておりました)のでうっかりメモリーカードを挿入すのを忘れ撮影出来ておりません

2013/12/16
 昨日の午後から西条市在住の藤原さんが整備作業の応援に来てくださる事になりました。藤原さんもSLファンで全国の保存機の撮影をされているそ

うです。早速第一動輪の塗装をハンマーの手打ちで除去する作業に取り掛かっていただきました。頼もしい助っ人で私としては大助かりです。独りで寡
黙に作業するのと違い会話をしながらの作業は良いものです。

 本日は藤原さんは引き続き第一動輪、私はテンダーの研磨の仕上げと運転室下部のケレンをしました。北海道型の蒸気機関車の特徴は切り詰めデ

フや手すり、密閉型のキャブ、独特のタブレットキャッチャー、分配弁ボックス等に見られます。本機は既にATSを装着していましたので、タブレットキャ

ッチャーは除去されています。分配弁ボックスも溶接が厳しくボルトを切断して開きました。内部の安全弁には50・7・25NH(苗穂)の白文字、作用弁

体の基部には50・9・28NHの白文字が残存していました。本機は50・10に休車措置が取られていますから、最後の苗穂工場での整備が伺える貴重

な資料と言えます。テンダー第一・第二ボギー台車の軸箱の溶接を外して軸ツバを確認しましたら各軸ツバには部品・製品番号の各刻印がありました。

右側は軸箱バネの裏側まで溶接されており除去不可能でした。明日は作業を藤原さんに託し別件で私は休みます。

2013/12/18
 昨日は別件で八幡浜市の79642号機を見に行きました。同機は名寄~追分機関区に所属し1976/03/01に廃車になり、その後八幡浜市に静態

保存され現在に至っています。同機は静態保存されるべく丁寧に整備・点検・清掃後移送されていますので、44号機のような長年の粉塵の凝固物は

ありません。しかし、その後整備は一度塗装されただけであり、9600型はオープンキャビンであるが故に、装備の紛失も多く特に逆転ハンドルが欠損

しているのは非常に残念な事です。44号機もそうですが9600型機も四国に配属された事が無く、愛媛県に同機と本機が存在するのも因縁かとも思

われます。

 本日は左従輪部・テンダー側面の錆止め剤塗布・第一・第二先輪第二・第三動輪のケレン作業を行い、缶カバーの本塗りの準備をしました。

2013/12/20
 昨日は煙室扉・煙突・両デフ・前部缶カバーを塗装しました。屋内保存ですので水性塗料を使用していますが、二度塗りで仕上げます。年内にランボ

ードより上部~キャビンまで塗装の予定です。仕上がりましたらまとめて紹介します。 本日は雪・雨の降る荒天でしぶきがかかりますので塗装は午後か

らにして、テンダー右側面の研磨、テンダー前部の格納扉・ATS接続ボックスの溶接を外し内部を確認しました。粉塵をかぶっているだけで走行時のま

まの状態でした。キャブ側のATS/S型接続箱Bは油を差し後日開放を試みます。右格納ボックスには部品が収納されていますが、何の部品かわかり

ませんので、後日紹介いたします。明日からの作業の大半は塗装になりますので後日まとめて紹介いたします。藤原氏は右動輪部の打刻ケレンに取り

掛かります。

2013/12/22
 昨日のテンダー左格納庫内の物品は中間緩衝器の輪バネでは無いかと思われます。詳細は取り出してから報告します。右格納庫の物品は一段の

ステップでした。貨車用とも思われないのでご存知の方はご教示ください。両方とも正式に撮影してお伺いします。本機が西条市に輸送される際に、岩

見沢機関区の方がそのまま置いておられたものかと思われます。テンダーの整備にかかり左右の側面は塗装が終了しました。石炭車床面には4か所

の穴が腐食により開いており、特に前部の左隅の腐食穴は大きく小さな子供さんであれば入れる状態で、内部には長年のゴミ類が蓄積しております。

 C58-353号機の整備で心残りはテンダー水槽部内の多量のゴミ類を除去出来なかったことで、その反省に立ち本機は除去・清掃をしたいと思いま

す。取水口蓋の溶接を外し中を覗きますと、腐食穴から入った雨水が25cmほど溜まっていました。藤原氏に揚水ポンプで汲み出してもらいました。内

部に入り清掃後下から板を支柱で固定しパテで床を作成する方法で穴を塞ぐ予定です。明日からはキャビン前後・左右の塗装に入ります。

2013/12/24
 昨日はキャビン左右・前後の塗装を完了し、本日はテンダー後部~水取口部のケレン錆止めを行いました。一段のステップの件に関しては除雪板

(スノーブロウ)を外した際に取り付けるステップの一段目を取り外し可能にしたのではというご教示をいただきました。昔の44号機の白黒写真を探し

ていますと、年代は不詳ですが除雪板をつけた状態で右側に正面(前向き)を向いた一段のステップを付けた写真がありました。夏用の二段ステップ

とも異なり取り外し可能な状態にしてあるのか、支柱と合わせて見ます。四国では必要のない除雪板ですが岩見沢時代には必要不可欠なものであり、

その形態が南国の者には新鮮に映ります。

2013/12/26
 昨日は西条市も0度でした。気温が上がるまでキャビン左下のケレン仕上げと、左右の窓の外側を塗装したりテンダー内に残存している多量のゴミを

除去する作業をしました。気温が上がった午後からテンダー左底・第一~第二ボギー台車部を高圧洗浄で吹き飛ばす作業をしました。一見塗装が生き

ているように見えますが、スクレーパーで擦ると簡単に剥げ落ち、また各横梁・溝型鋼・山形鋼・台枠の内側にはかなりの粉塵が蓄積されており。その

上から塗装がされており、テンダー下部は完全な整備はされていなかったことが解りました。

機体シャーシー部もそうでしたが前(進行方向)より後部側に粉塵が大量に堆積する傾向があるようです。分厚いものでは7cmの厚みがあり少量の部

位でも1・5cmはありました。いつのころからの粉塵なのでしょうか?


 本日は西条市は朝から雨で、勢いが強くメッシュの囲いから雨が飛沫ますので塗装作業は中止し、右第一~第二先輪・第一動輪の打刻ケレンと右サ

イドランボード下の各部位の凝固した粉塵を取り除く作業をしました。手作りの棒スクレーパーが大活躍でかなりの凝固した粉塵が落せました。

2013/12/28
 昨日から右第二・第三動輪の打刻ケレン、・テンダー後部も錆止め剤塗布作業をしております。本日はテンダー後部の自動連結器・解放テコの溶接

部を外し可動状態にし錠揚げも上に揚がりましたが、ナックルと作業上屋の支柱が近接しており完全な解放状態にはなりません。連結器・ナックル上

部に製造番号刻印がありました。自動連結器の最終確認は上屋撤去後の最後の確認整備作業になります。これまでの塗装完了部分と合わせて12/

30に写真アップいたします。今日も雪交じりの厳しい寒さです。近くの山々もすっかり雪化粧をしておりその山からの雪交じりの風が足元を吹き抜けます。

2013/12/30
 昨日はテンダー後部の塗装と右ランボード下及び第二空気溜内側のケレンをしました。本日はテンダー自動連結器と解放テコのケレンをし煙室扉に

西条市地域の独特の正月飾りを取り付け午前中で作業を終了しました。今までに塗装が一応完了した部位を紹介します。

 C57-44号機整備記録をご覧いただき有り難うございました。来年は1/03から作業再開し1/04にC57-44号機整備記録NO-4で再びお目にか

かります。それでは皆様良いお年をお迎えくださいませ。愛媛のKAZE

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